記事タイトル→2006-02-27 Mon  ホワイト・デイズ(2)記事タイトル←

ペースが早いですが、そろそろアップしないとホワイトデーまでに公開終わらないのではないか、そもそも書き終わらないのではないか、などという予想が現実になりつつあるので、早いうちにアップします。書き終わるといいなぁ(ぇ


*
これまでのあらすじ:バレンタインの日に友人の柴田が、ひそかに思いを寄せている山根女史からチョコを貰った。お返しに何を渡すべきか悩む柴田のため、義を重んじる俺は一肌脱ぐことにした。(クリックしたらホワイト・デイズ1に飛ぶ。あらすじだけ読んでわかった気になってはいけない)


 その日家に帰りついた俺は、荷物を部屋においてすぐに家を出た。目的地は隣の家だから、そう時間はかからない。制服のままでも問題はあるまい。
チャイムを押して、目的の人物を呼び出す。案の定、すでに家にいた。
 「なんか用? 荒川」
 言い忘れたが、俺の性は荒川という。下の名前? 俺を下の名前で呼ぶのは家族しかいないし、この話に家族は出てこない。よって俺の名を知っても諸君らにとって意味はない。無駄というのを悪いことだとは言わないが、出したところでどうしようもないし、そもそも作者が思いついていない。
 そんなことはどうでもいい。俺はその人物にダイレクトに尋ねた。
「なんで俺にくれなかったんだ?」
「だってあんたお返しくれないじゃない」
 山根女史は平然とそう言った。そう、実は俺と山根女史は家が隣だ。それなりに親しいのだが、学校では滅多に話さない。隣同士だとバレると、なにか面倒そうだからという暗黙の了解がある。当然、柴田もこの事実は知らない。教えるつもりもない。
「お返しが目当てなのか?」
「当然でしょ」
 済ましてそういうことを言わないで貰いたい。本気で悩んでいる純な少年がいるんだ。
「ちなみに参考までに聞いておきたいんだが、お返しって何が欲しいんだ?」
「そんなことを聞きに来たわけ?」
「まあそんなところだ。用件が済んだらさっさと帰るよ」
「あがってもいいわよ? こんな玄関先で話さなくてもいいじゃない」
「君がここで言えばそれで済むんだ。わざわざ小母さんに迷惑をかけることはない」
「・・・なんであんたって、そんなに偉そうな喋り方なわけ?」
 突然、表情を険しくしてきた。これはあくまでも癖だし、自分がえらいと思っているつもりはないのだが。
「気に障るのなら、今後気をつけるようにするよ」
「・・・まあいいわ。お返しは・・・そうね、お菓子はいらないわ。太るし」
「体重を気にしていたのか?」
「失礼ね」
 どこが失礼なのだろうか。いまいちわからない。別に太っているといわれたわけじゃあるまいに。まあ彼女にそんなことをいうのは、今の目的ではない。
「じゃあ何がいいんだ?」
「ちょっとした飾り物とか、アクセサリーとか宝石とか」
「高校生の払える範囲のものなのか?」
「そういうものは、基本的に高ければ高いほどいいものなのよ。安くても可愛いのはあるけどね」
「そうか。参考になった」
「っていうか何の参考になるわけ? あんた、誰かから貰ったの?」
「いや、別にそういうわけじゃない」
「どういうわけ?」
「それは言えない」
「私にも?」
「友との約束だ。あきらめてくれ。じゃ、そういうことで」
 これ以上詮索されると面倒なので、俺はさっさと家に帰ることにした。山根女史から冷たい視線を浴びたような気がしたが、なに、柴田のためならこれぐらい止むを得まい。これぐらいの犠牲を厭わないで何が友情だ。


 と、まあここまでが二月十四日当日に起きた出来事だ。そう複雑でもないので、理解していただけたであろうことを祈る。
 さて、俺はほぼありのままのことを柴田に教えた。食い物よりはなにか小物を買ってあげたほうがよく、またその品物も高いに越したことはない、と。
 柴田はそれを聞いて大いに悩み、苦しんだ。無理もない。安くて可愛いものを選べるほど彼の美術的センスは優れているとは言いがたいし、経済状態もよくはない。となると選択肢は二つ。美術的センスを磨くか金を稼ぐか。
「・・・やはりセンスを磨くしかあるまい」
 柴田は悩んだ挙句、そんなことを言った。さすがの俺も言うべきか戸惑ったが、彼のことを思い忠告することにした。
「一ヶ月でセンスを磨き上げられるのか? お前の現段階のレベルを考慮すると・・・」
「それは確かに困難だ。しかし、金を稼いでも当面の解決にしかならない。今後のことを考えれば、困難でもそれを選ぶのが正しい選択ではないだろうか」
 柴田にしてはまともな意見だ。それほどの決意があるのなら、俺が口を挟むべきではなかろう。だが、一応確認はしておかなければなるまい。
「ちなみに金はいくらあるんだ? センスを磨いた結果、高いものを選ぶ可能性もあるだろう?」
「そのときは多少融通してくれ」
「友人との間で金の貸し借りをしたくはないのだが」
「なら、くれ」
 ずいぶんと率直なやつだ。素直なのは長所だが、遠慮がないのは欠点に属する。恋は盲目という現象なのかもしれないが、ただでさえ労力を割いている友人にこれ以上要求するのを恥ずかしいと思う程度の意識は残っていて欲しい。
「俺だって大して持っているわけじゃない」
「・・・まあそれを考えるのは実際に買うものを選んでからにしよう」
「この間は『気を抜くとあっというまに時間が来てしまうから、今のうちに考える』といっていなかったか?」
「些細なことだ」
 そろそろ思い上がっているような気がしてきたな、こいつは。友情を当たり前に思っているようだが、感謝の心は忘れないでもらいたい。なくしてから後悔しても遅いぞ。


<こちらをクリックすれば続く。だが、終わると決まったわけじゃない>
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女ってこわいね
2006-03-01(Wed) ・ 投稿者[錬金術師1008] ・ 編集 ・ Top

コメント→No.174 コメント←

>錬金術師1008さん
シンプルかつ重みのある発言ですね。
実際、このあいだネットで見た限りでは、
女性は本命のお返しには宝石が欲しいとか。
チョコと宝石の値段の比が三倍で収まるのかどうかはしりませんが。
2006-03-02(Thu) ・ 投稿者[G-song] ・ 編集 ・ Top

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