記事タイトル→2006-03-28 Tue  馬鹿どもの日(1)記事タイトル←

エイプリルフール小説ですよ。
「ホワイト・デイズ」のキャラを使いまわしますよ。
こんな会話をする男子高校生と女子高校生なんていないと思いますが、
そこは僕の趣味なので問題ないのですよ。
前回よりさらに適当なのは、時間の都合があったと好意的な解釈をお願いします。


*
 私はインターホンを押した。軽い電子音が聞こえるが、中から返事はない。連打する。中にいるのは分かっているのだ。早く出てこないあいつが悪い。
 二十回ほど立て続けに押した後、ようやくインターホンをとった音が聞こえた。やる気のない声が、機械を通すことでますますこもって聞こえる。
「・・・なんだよ、山根か。俺は寝ていたんだぞ? 春休みに遅くまで寝ている人間を起こすとは、何考えてんだ?」
「つべこべ言っていないで早く出てきなさいよ、荒川」
 私は荒川の言葉を無視して言う。荒川は嫌みったらしくため息をついたあと、「ちょっと待ってろ」と言って切った。幼馴染がわざわざ来てあげたのに、なんて態度なのかしら。
 私―――山根早織と荒川征也は幼馴染と呼ばれる関係にある。幼稚園から同じ学校に通っているから、その呼び方が間違っているとは言わない。でも、その響きはどうも気に食わない。理由はないんだけど。
ガチャリ、と音がしてドアが開いた。ぼさぼさの髪をした荒川が、無愛想な顔をして現れた。
「休みだからって不健全な生活ね。ご両親が出かけているからって、すぐにだらけちゃ駄目じゃない」
「説教するために来たのか?」
「もちろん、違うわよ」
 私は持っていた紙を荒川に渡す。荒川は疑わしげな目でそれを眺めた。
 その紙は、私の入っている吹奏楽部の春の演奏会のチケットだ。部員は、出来る限り客を呼ばなくてはならないことになっている。面倒だから荒川に渡しておくのが手っ取り早いってことね。
「・・・手の込んだエイプリルフールだな。どこで印刷した?」
「は?」
「演奏日、四月一日じゃないか」
「・・・あんた、何考えてんの? エイプリルフールのためにこんなもの用意するわけないじゃない」
「・・・つーことは、これは本当に演奏会のチケットなのか」
 当たり前でしょうが。今までのは本気で言っていたの?
「そうか・・・悪いが結構だ。他を当たってくれ」
「何で断るのよ? どうせ暇でしょう?」
「そう、暇だ。春休みは学校の休みの中で最もすばらしい休暇だ。学年が変わるために、教師から宿題を出されることもない。学生は夏休みなどと違い、ここでこそ真の休息を得られる。そんな中、興味もない音楽会のチケット貰ったところで、果たして行きたいと思うであろうか」
「興味を持つために来なさい。食わず嫌いはよくないわ。理論をある程度構築したら、実験で確かめるのが基本よ。あんた、化学部でしょ?」
 荒川は私の反論に詰まった。どうせ適当に言っているだけなのだから、追求すれば私が勝つに決まっている。
「・・・別に他の奴誘えばいいだろう? ほら、柴田を誘え、柴田を」
「柴田くんを誘ったら、あっちが勘違いしちゃって可哀想じゃない」
 柴田君は私のクラスメイトだ。あ、でももう学年は終わったわけだし、来年も一緒とは限らないわよね。
 まあそれは置いておいて、彼はホワイトデーの日、私に告白してきた。バレンタインにクッキーを配ってしまい、余計な期待をあげちゃった私がいけないことは認める。私にそんなもんもらったらそりゃあ勘違いしちゃうわよね。
 当然、その告白はあっさり断った。ここで柴田くんを誘ったら、私が彼に気を持ったみたいでどうもよくない。
「・・・なんか他に誘うやついないのか? 俺が聞いてもしょうがないって」
「つべこべ言わず、受け取りなさいよ。貰って損することもないでしょう?」
「あげた君が損するかも知れんぞ」
「じゃあ家に上げてくんない? 私も今日、暇なのよね」
「・・・どういう流れだ?」
「この間、うちに上げてあげたでしょう?」
「・・・それもそうだな。チケットはとりあえず後にしよう」
 荒川が意外とあっさり私を家に入れてくれた。断っても無理やり入ったかもしれないけど。
「なにが欲しい?」
 ソファに座った私に、荒川が声をかける。飲み物、と言う意味でしょうね。ここでお金とか答えたらどうするつもりなのかしら。
「何があるの?」
「液体」
「・・・冷蔵庫に頭突っ込んで冷やしなさい」
「冗談だよ。そこまで怒るか?」
「あんたの冗談はつまんないのよ。タイミングがわけわかんないし」
「長い付き合いなんだから、それぐらいわかってくれ」
「炭酸ない?」
 私は荒川の言い分を無視する。荒川は素直に冷蔵庫を覗いたあと、
「ないな」
 とだけ答える。
「じゃあお茶」
「熱いのと冷たいの、どっちがいい?」
「水出し玉露」
「二十四時間待て」
 荒川と私はしばらく顔を見合わせて、思いっきり笑った。バッカな会話だ。
「飲み物はいいわ。あー、何しに来たんだっけ?」
「別に何もないだろう? 暇だから、って言っていたじゃないか」
「そうそう、演奏会ね」
「諦めてくれって。他に誘うやつ、お前ならいくらでもいるだろう?」
「そりゃいるけど、誘ったら気があると思われるじゃない」
「女ではいないのか?」
「たいていの女子にはもうあげているの。いくらか男子も誘わないと、ちょっと人数が足りないのよね」「チケット、置いていく分はかまわないけど、たぶん行かないぞ」
 荒川はそっけなく答える。なんでそんなに行きたくないのよ?
「だってお前、これでお前に誘われて演奏会なんて行ったら、柴田に悪いじゃないか」
「・・・そういう理由なの?」
「主にね」
「本気で言ってる?」
「俺が嘘をついても、お前には分かるって前に言ってなかったか?」
 そう、荒川が嘘をついたらその表情で私にはすぐに分かる。長い付き合いだものね。で、今の顔は、明らかに嘘。
「嘘ついているでしょ?」
「正解だ」
 荒川は当然のように答える。開き直り、とも少し違う。本気で隠している「何か」があるのかもしれない。もっとどうでもいいことに嘘をついたら、こいつはもっと慌てる。本当のことを言う気がまったくないから、ここまで落ち着いているのだ。
「・・・わかったわよ、いいわよ。あんたがそこまでけち臭い男だなんて思ってなかったわ。幻滅」
「自分の思い通りに相手が動いてくれないからって、その人をけなすって言うのは褒められたものではないな」
「うるさいわね!」
「僕には君の声のほうが大きく聞こえる」
「わかったわよ。悪かったわね、せっかくの休みに邪魔して。お前なんか来るなバカ!」
「だから、最初から行かないと言って」
 私は荒川の言葉を聞かず、そのままソファーから立ち上がって荒川の家を出た。なんであんなヤツにチケットをあげようなんて思ったんだ、私は。


続く。
時期ネタ小説 ・ COMMENT[5];Top

コメント→No.292 コメント←

履歴から訪問させて頂きました。
メキシコにいらっしゃるとか・・・私には創造もつかない
環境になのだと思いますが頑張って下さい。

小説の続き楽しみにしてます。
2006-03-28(Tue) ・ 投稿者[樹] ・ 編集 ・ Top

コメント→No.294 コメント←

>「何があるの?」
>「液体」

吹いたwww。なんかつぼだったよ。このそっけなさが。

いやあ、それにしてもまたこのキャラたちが来てくれるとは。ホワイトデイズはかなり気に入ったからなあ。これはもう、シリーズ化決定だね!!(謎)

そういえば、主人公(荒川)の下の名前って初めて出たよね?
2006-03-29(Wed) ・ 投稿者[錬金術師1008] ・ 編集 ・ Top

コメント→No.295 コメント←

コメントありがとうございます☆
小説書いてるんですね〜、すごいっ!
おれには絶対無理だ!笑
また来ますね
2006-03-29(Wed) ・ 投稿者[やじろべー] ・ 編集 ・ Top

コメント→No.296 挨拶に来ました〜。コメント←

申し訳ないっす。
おわんなかったっす!!
続きはネットに繋がってから書くっす!!
その日までサヨナラっす!!
でも、見捨てないで欲しいっす!!
I'll be backっす〜!!

…うざい?
2006-03-29(Wed) ・ 投稿者[持瑠] ・ 編集 ・ Top

コメント→No.298 コメント←

>樹さん
別にメキシコに住んでいようとどこに住んでいようと人間同じですよ。
コメントありがとうございます。

>錬金術師1008さん
こういう会話はすらすらと思い浮かぶんだけど、
実際こんな話をしているやつがいたら痛い。
ちなみに「名前が初めて出た」とおっしゃいますが、
これは今になってようやく小学生のころの「荒川くん」の名前を思い出しただけです。

>やじろべーさん
小説なんて書かないでいられればそれでいいんですよ。
書くもんじゃありませんって、普通は。

>持瑠さん
ご安心を。定期的にチェックさせていただきます。
僕も日本帰国中は更新できないかもしれませんし。

小説は頑張ります。頑張ります。ほんと。
2006-03-29(Wed) ・ 投稿者[G-song] ・ 編集 ・ Top

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